障害者への水泳指導(水泳教室・指導員養成)

身体障害者や知的障害者の水泳指導をしています。(5,000円から)
障害者への水泳指導者も養成しています。(20,000円から)
出張指導もしますので、お気軽にお問い合わせください。(コメント欄にお書き込みください。そのコメントが公開されることはありません)

ブルドック

 Kは当クラブの水泳教室に通う知的障害(3度)の青年です。明るくてちょっとツッパリでシャイで、、、可愛い好青年です。ある日、プールに来ると彼は「サンデイ、マンデイ、チューズデイ・・・」と英語で「月・火・水・・・」と言いだしたのです。『ハハァ、今、英語にハマっているな・・・』と思った私は一週間を英語で言えるように教え始めました。それは水泳教室なのか、英語教室なのか、わからなくなるほど・・・。
 たまたまKはちょっと気持ちをくすぐるとすぐに乗ってくるタイプなので、約1年掛かって“一週間”を英語で言えるようになりました。それは例えば「月曜は?」、「マンデイ」。「水曜は?」、「ウェンズデイ」というように、頭から順番に覚えたのではなく、一つ一つの曜日と英語が一致するようになったのです。
 調子に乗った私は次に「ジャニュアリー、フェブラリー、マーチ、エイプリル・・・」と、一年の月を英語で教え始めました。それは2~3年掛かったと思います。ようやく一週間も一年も英語で言えるようになるとKは私に問い掛けました。
K「ソースは英語でなんて言うか知ってる?」
私「エッ? ソースは英語でもソースじゃないの?」
K「違う」
私「エッ? ソースは英語でなんて言うの?」
K「ソースはブルドック」
 もうお腹がよじれるほど大爆笑でした。
 そういえば、脳性マヒ(2種)+知的障害(4度)のSとパソコンのメールの話をしていた時、
S「ボクのメールアドレスは“フニャララ ハートマーク”だよ」
アットマーク(@)をハートマークというのがスゴイ!!!
 何となく夜のネオン街にある飲み屋さんで、ネグリジェを着たオネエさんが帰りがけにくれる名刺に書いてありそうなメールアドレスに使っていそうですよね。エッ? そんな想像、私だけ??

プール利用者の時代変化

  • 平均年齢

 昔、“プール”といえば子どもや若者が中心の施設でした。ところが最近では特に午前中などプールを覘いてみると変わりましたね。ご年配の方々が熱心に歩いていらっしゃいます。
 まあ歩いたり泳いだりで昨今の健康志向の高まりに伴うトレーニングなら結構なことですが、ちょっと困るのが「井戸端会議」ならぬ「プール内会議」でお喋りに夢中になっていらっしゃる輩。ハッキリ言って迷惑です。
 プールではお互いに“譲り合い”が基本。ところがお喋りの輩はお喋りに夢中でほとんど動きません。つまりお喋り以外の方が譲る一方なのです。
 まあお喋りすることがダメ!と言っているのではありません。お喋りするのはプール以外でも可能です。しかし水中トレーニングや水泳はプールの中でしか出来ないのです。
 もしお喋りの輩たちに譲り合いの心があるのなら、プールから出て思う存分喋ってくれれば良いのです。ほとんどの場合、お喋りの輩はご年配たちなので周囲は黙っていますが、もう少し譲り合いの気持ちを持ってください。
 いずれにせよプールを利用する方々の平均年齢は過去よりも遥かに高くなりました。

  • 水着

 次は水着以外の、ラッシュガードやウェットを着用してプールに入って来る輩が増えましたね。昔は水着以外の着用は認めてくれなかったのですが、昨今ではそのまま外を歩いても、「エッ? 着衣泳?」と思う様な普段着でプールに入ってきてしまう輩もいます。
 これには古くからスイマーの私には抵抗があります。やはりプールに入るのは水着でしょ!!
 スイミングクラブでも女性水泳コーチは“冷え”を予防する意味からウェットを着用されている輩が少なくないですが、水泳を教える立場として、「コーチは水着が基本」と思っている私は古いコーチだからでしょうか?
 まあ個人的には好ましくないと思っていますが、これも時代の流れですかね?

  • 親子水泳教室

 過去、「親子水泳教室」といえば“幼児”と“お母さん”が中心でした。ところが最近は「イクメン(子育てする男性(メンズ))」が普及されたせいか、あるいは女性なので“冷え”を嫌うのか、お父さんの参加がグッと増えましたね。
 たまたま私の通っているプールでは70~80%がお父さんで、お母さんの割合を越してしまいました。まあプールは何ヵ所か通っているので、何処のプールでも同じ傾向(お父さん>お母さん)があります。
 少し前までは“子育て”といえば「お母さんの役割」と思っていたのですが、これも時代ですね。

  • 障害者は

 過去、身体障害児を公共のプールへ連れて行ったのですが、プールの中にいる一般の子どもの驚きはたいしたものでした。それは手がない(異様に細い)、足がない(異様に細い)、奇形を見てそれなりのショックを覚えるようです。
 自分たちの身体とあまりにも違う体型を、『プールに入るとそれがうつるのではないだろうか』と心配になり、プールを出て行ってしまうのです。それは見慣れない異様な体型を見た子どもの素直な反応なのかもしれません。
 先日、ダウンちゃん(ダウン症候群)を二名連れて公共のプールへ入りましたが、二名の小学生女児がやはり明らかに自分たちとは違う顔形をしたダウンちゃんを見て、プールから出るまではないものの、意識してダウンちゃんがこちらへ来ればあちらに行き、あちらに行けばこちらに来ると避けていました。
 やはり気持ちはともあれ、自分たちとは違う顔形に受け入れることが出来ないようでした。
 この辺は昔から変わりはありません。

平衡機能障害と水泳

 前回、私たちの身体の外部情報を受け取る五感(アンテナ)の話をしました。実はそれ以外に身体の内部情報をコントロールしている感覚器、「平衡感覚」があります。平衡感覚はご存知内耳にある「三半規管」がつかさどっています。
 今、あなたの姿勢が「立っている」とか「寝ている」とか「座っている」とか・・・、どんな姿勢をしているかを察知していますが、目が回ったりとか乗り物酔いしたりとかめまいとか・・・、平衡感覚がくるうとフラフラして立っていられなくなることもあります。
 また三半規管の障害もあって、フラフラ酔っ払いが歩いているような「平衡機能障害」があります。
 ちなみにフランスのロジェ・カイヨワ(Roger Caillois)は、「遊び」を「“アゴーン:競争”、“アレア:運”、“ミミクリー:模倣”、“イリンクス:めまい”の四つである」と分類して考察しています。
 この中で水泳は競泳を除けば“めまい”の遊びです。つまり自転車、スキー、スケートなどの遊びの仲間になるのですが、平衡機能障害になると歩くことも困難になる場合があります。この場合、自転車、スキー、スケートは難しいかもしれません。しかし水泳は最初から寝た姿勢なので失敗(転倒)の心配はありません。
 したがって水泳は平衡機能障害でも可能と思われます。『可能と思われる』というのは、過去に平衡機能障害の子どもも当クラブに在籍したのですが、長く継続することはありませんでした。つまり恥ずかしながら「よくわからない」というのが現状です。すいません。