水泳教室は2時間
当方では水泳教室に2時間をいただいています。この“2時間”とは「施設へ入館してから退館するまで」です。
普通、スイミングクラブでは生徒が水着に着替えてプールサイドに集合し、「こんにちは」の挨拶から始まって「ありがとうございました」の礼で終わります。つまり挨拶から始まって礼で終わるまでの時間を計測しますが、当方では一緒に施設に入り、着替え、一緒にプールに入ってまた着替え、一緒にプールから出て退館します。この間が2時間。
これは今までの経験上、更衣に30分以上掛かる生徒はプールでも動きが遅く、基礎体力が低いことが分かっています。逆に更衣が10分以内で完了してしまう生徒は、プールでも動きが速く、基礎体力が高いことも分かっています。
したがって「水泳教室は2時間」と言っても、実際はプールに入っている時間が60分以内だったり90分以上だったりします。
普通のスイミングクラブのようにプールサイドで始まってプールサイドで終わる(一般的には1~1.5時間)。つまり誰しもが同じ時間でプールに入っていると仮定すると、障害者の場合、ある生徒は運動強度が高過ぎ、ある生徒は運動強度が低過ぎたりします。
やはり経験上ですが、泳げるようになって体力が向上すると、更衣時間も短縮されます。つまり体力向上によって水泳時間が長くなる仕組みです。
もっと言うと、「更衣も水泳教室」と私は考えています。
更衣中に生徒が“出来ないこと”はサポートしますが、“やらない”に関しては“やる”ように指導します。
“出来ない”と“やらない”は違います。時間があれば出来るのに、「時間が無い」という理由で“やらない”を助長するボランティアもよく見かけます。
水泳教室で“泳げない”から“泳げる”よう指導するように、更衣も“出来ない”から“出来る”へ指導します。
何度も言いますが、障害によって出来ないことはサポートします。しかし“やらない”においては“やる”ように指導します。
以前、重度の障害を持つ生徒が「やってもらえるまで待つ」が習慣化されていました。それを「自らやる」に変えるまで相当の時間を費やしました。それこそ初めの頃は更衣に時間を取られ、プールに入っている時間は少し(200mくらいの練習量)で、まるで行為の練習のためにプールに通う状態(更衣に30分以上掛かる)でした。ところが最近は更衣時間が20分以内に短縮され、ほとんど介護無しに更衣が出来るようになったばかりか、練習量は1,200mくらいまで延びました。
これはほんの一例ですが、ほとんどの場合が当てはまる事実です。
ちなみに当方に通う生徒のほとんどが10年以上の継続会員です。10年以上の継続会員はほとんどが1,000m以上の練習量です。(平均2,000m、最大4,000mほど)
障害者の場合、健常者と比べて泳げるようになるまでスモールステップで時間が掛かります。もっと言うと、障害のために泳げるようにならないケースもあります。
それじゃ水泳指導じゃない?? そんなことはありません。水の中でおもいきり身体を動かしリフレッシュする。水中運動を楽しむ。それは立派な水泳指導の範疇だと私は信じています。